高脂血症と動脈硬化のお話
高脂血症と動脈硬化について
健康診断で高脂血症と言われる人も多いと思います。
1度は医療機関を受診しても
症状が全くないので、なかなか続けて治療できないようです。
動脈硬化という面から、高血圧と同じ位に重要です。
危険因子としての高脂血症
動脈硬化の危険因子には
- 高脂血症
- 喫煙、年齢
- 男性と閉経後の女性
- 糖尿病
- インスリン抵抗性
- 肥満、ストレス
などがあります。
誰でもどれかしら当てはまりそうですよね。
さらに、高脂血症は
- 虚血性心疾患(LDL,HDL,IDL,TGなど)
- 脳梗塞、動脈瘤
- 閉塞性動脈硬化症(コレステロールが高い、Ⅲ型高脂血症、HDLが低い)
- リポ蛋白糸球体腎症(apo E の変異)
- 巣状糸球体硬化症
などと関係します。
この中で、冠動脈疾患に最も関連します。
200mg/dlのコレステロール値の時の危険率(心筋梗塞になる確率)を1とすると、
- 250mg/dlでは2
- 300mg/dlでは3.5~4
となります。
そのコレステロール値は日本人で増え、アメリカで減って1990年ほぼ同じ値になり、
今後日本人に虚血性心疾患が増加する可能性があります。
家族性高コレステロール血症を例にとると、
男性では30歳台から心筋梗塞の発症があり、50歳台にピークがあります。
女性は60歳台がピークと言われています。
死因の7-8割は心筋梗塞で、冠動脈造影でも、年齢とともに狭窄が強まります。
次に高血圧症について見ると、同じような臓器に障害が認められます。
しかし、疫学調査では、
高コレステロール血症の方が、冠動脈疾患では関連が深い結果となっています。
「脳卒中には高血圧症も大きく関係している」コレステロールを低下させると、
虚血性心疾患は30%低下しますが、脳卒中は10%しか低下しません。
血圧を低下させた疫学調査では脳卒は減少するが、
虚血性心疾患はあまり減少せず、より高コレステロール血症重要です。
高コレステロール血症の治療指針
- 日本動脈硬化学会の指針
血清総コレステロール220mg/dl以上を高コレステロール血症とする。 適正域は200mg/dl以下とする。この中間を境界域とする。 LDLcでは140mg/dl以上を高コレステロール血症といい、
120mg/dl以下を適正域とする。「LDLc測定が望ましい」と決められています。
- 管理指針
危険因子もなく冠動脈疾患もない患者さんでは
LDLcで140mg/dl以上で生活指導や食餌療法を行います。危険因子のある患者さんでは120mg/dl以上で
冠動脈疾患のある患者さんで100mg/dl以上の時に生活指導、食事指導を行います。薬物療法を開始する基準はこれに20mg/dl上乗せします。
目標値は食餌療法を開始する値です。危険因子としては、
加齢(45歳以上)、閉経後、家族暦がある、喫煙中、
高血圧、肥満(BMI 26.4 以上)耐糖能異常がある などです。
薬物療法の効果
色々な薬が発売され、家族性高コレステロール血症なら
著しいコレステロールの人以外はコントロールが可能です。
しかし、残念ながら治癒させる事はできません。
続けて服用しなければなりません。